西陣極細織掛軸　吉祥天立像

吉祥天は、豊かな暮らしと平和を授ける豊麗な女神として人々に信仰され続けています。京都府木津川市にある古刹、浄瑠璃寺に800年以上前から安置されている「吉祥天立像」は、秘仏であったため鮮やかな色彩が残っており、その色彩を西陣織で鮮やかに再現しました。日本一の美人とも称されるそのふくよかな姿は、ほおを金茶色や薄茶色でぼかし、目の下や鼻に金茶色を、上唇はローズ色を、下唇には赤とシルバーを織り込むなど、西陣織技師の色彩感覚の妙によって柔らかく立体的に表現されています。

光背の輝きや衣装の質感と重み、さらに奈良以降使われるようになった繧繝彩色（うんげんさいしき）の自然なグラデーションも、見事に織りによって表現されています。

左手に如意宝珠を持ち、右手は与願印を示す姿は、願いを聞き届けることを象徴しています。部屋に飾ることで、願を聞き届けていただけるかもしれないと感じさせる、縁起の良い作品です。　

本金箔使用

サイズ：H. 約175.0cm   W. 約52.0cm