亀京窯

焼締めに女性らしいエレガンスを

女性陶芸家、中井絵夢さんは、高校生の頃から陶芸に魅了され、京都伝統工芸大学校卒業後、5年間丹波焼作陶家のもとでの修行を積んだ後、独立されました。

現在ガスで焼く小さい窯も多い中、家族と共に山奥にて木を切り出したりしながら、自作の窯で昔ながらのやり方で高温で焼く亀京窯を若くしてはじめました。学生時代から窯の作り方などを図書館で研究するなど、なんでも自分で作ってしまおうという発想と、納得がいく作品を作りたいという強い探究心を持たれた方です。

絵夢さんの作品は日常に溶け込む工芸品でありながら、彼女自身の個性も反映されています。艶やかで繊細な、ある意味で焼締めらしからぬ作品を作る、その姿に強い個性と彼女の美的感覚が表れており、それが作品の強い印象になるのではないでしょうか。

特徴はその薄さと艶。厚くてザラザラ感が多いどちらかという力強い印象の焼締めを、使いやすさを考えてあえて薄く、そして磨きを強くすることで艶を出し、他の焼締めにはない優美さ、繊細さを出しています。さらに、高温の伝統的な窯で焼くことで出る自然釉の美しさも特筆です。

彼女の思いは日常に使える器を、手に入れやすく、使いやすく提供することにあります。抑えられた値段設定、ご飯茶碗は、ご飯粒が器にくっつかないように、カップは口当たりが良いように、とっては重さを感じにくく持ちやすいように、と細かい想いが随所に現れています。

土は様々な産地の物を使い、色も様々。自然が発する色から、顔料を土に混ぜて微妙な色を出したりと、絶えず新しいことに挑戦し、これからも様々な器を生み出してくれることと思います。 現在は、最愛の故郷亀岡の土で器を作りたい!と強い情熱を持って土を探しているとのこと。また、趣味の料理が高じて、一日店長を務めるなど、将来は自分の器を使ったお店を始めるという夢もお持ちです。

自然と調和した生活の中で丁寧な生活をしたい、という人々の心を打つ器を作り続けてくれることと思います。